iDeCoは一時金と年金どっちで受け取る?資産額・加入年数別の税金比較と、退職金と重なるときの注意点
iDeCoで積み立てた資産は、60歳以降に「一時金」「年金」「一時金と年金の併用」のいずれかで受け取ります。受け取り方によって税金が大きく変わるため、資産額と加入年数別に税金を比べてみます。
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受け取り方と税金のしくみ
| 受け取り方 | 税金の区分 | 主な控除 |
|---|---|---|
| 一時金 | 退職所得(ほかの所得と分けて課税、控除後の1/2に課税) | 退職所得控除(掛金を払い込んだ年数で決まる) |
| 年金 | 公的年金等の雑所得(公的年金と合算して課税) | 公的年金等控除(65歳以上は年金収入110万円まで所得0) |
| 併用 | 一部を一時金、残りを年金 | 両方の控除を使える |
一時金の退職所得控除は、掛金を払い込んだ年数が20年以下なら40万円×年数(最低80万円)、20年を超える部分は1年につき70万円です。たとえば15年なら600万円、25年なら1,150万円まで非課税で受け取れます。
資産額・加入年数別の税金比較
65歳から受け取り、公的年金が年200万円ある単身の人が、iDeCoを「全額一時金」「全額を10年の年金」「控除の範囲は一時金・残りを10年の年金」で受け取った場合の、所得税・住民税の合計です。
掛金を払い込んだ期間 15年(退職所得控除 600万円)
| 資産額 | 全額一時金 | 全額年金(10年) | 併用 |
|---|---|---|---|
| 500万円 | 0円 | 683,000円 | 0円 |
| 1,000万円 | 304,652円 | 1,439,000円 | 532,000円 |
| 1,500万円 | 932,422円 | 2,118,000円 | 1,287,000円 |
| 2,000万円 | 1,694,453円 | 2,685,000円 | 2,005,000円 |
掛金を払い込んだ期間 25年(退職所得控除 1,150万円)
| 資産額 | 全額一時金 | 全額年金(10年) | 併用 |
|---|---|---|---|
| 500万円 | 0円 | 683,000円 | 0円 |
| 1,000万円 | 0円 | 1,439,000円 | 0円 |
| 1,500万円 | 264,337円 | 2,118,000円 | 457,000円 |
| 2,000万円 | 856,372円 | 2,685,000円 | 1,212,000円 |
この条件では、どの資産額でも全額一時金の税金が最も少なくなりました。一時金は退職所得控除を引いた残りの半分にしか課税されない一方、年金で受け取ると公的年金と合算され、年金の分だけ所得が増えるためです。たとえば加入15年・資産1,500万円なら、全額一時金の税金は932,422円、併用は1,287,000円、全額年金は2,118,000円です。
※ 会社の退職金も受け取る場合は、退職所得控除を退職金と分け合うことになるため、iDeCoを年金や併用で受け取るほうが有利になることがあります(次の項目)。公的年金が少ない人や、公的年金を受け取る前の期間にiDeCoを年金で受け取る場合も、公的年金等控除の範囲内なら税金がかかりません。
※ 2026年分の所得税・2027年度分の住民税の制度で計算し、運用による増減は考慮していません。社会保険料控除などほかの控除はない前提です。年金で受け取ると所得が増えるため、国民健康保険料・介護保険料が増える場合があり、その影響は含んでいません。青字は税金が最も少ない受け取り方です。
会社の退職金と重なる場合に注意
iDeCoの一時金と会社の退職金を近い時期に受け取ると、退職所得控除の計算で期間が重なる部分が調整され、思ったより税金がかかることがあります。2026年1月以後にiDeCoの一時金を受け取り、その後に退職金を受け取る場合は、退職金の前年以前9年以内に受け取ったiDeCoの一時金が調整の対象になります(改正前は4年以内)。
退職金の額と勤続年数が決まっている場合は、先に退職金を受け取ってからiDeCoを年金で受け取るなど、順番と受け取り方を組み合わせて考えましょう(退職金の税金はいくら?・退職金の税金計算シミュレーター)。
受け取り方を決めるときのポイント
- 年金で受け取ると手数料がかかる:年金での受け取りは、振り込みのたびに手数料がかかり、受け取る回数が多いほど負担が増えます。
- 受け取りは60〜75歳の間で選べる:受け取り開始を遅らせる間も運用を続けられます。
- 公的年金が多い人は年金受け取りの税金が増えやすい:公的年金と合算されるため、公的年金が多いほど、iDeCoを年金で受け取ったときの税率が上がります。
積み立て中の節税額はiDeCo節税シミュレーターで計算できます。
よくある質問
iDeCoは一時金と年金、どちらが得ですか?
会社の退職金がなく、公的年金がある程度ある人なら、この記事の試算では全額一時金の税金が最も少なくなりました。一方、会社の退職金で退職所得控除を使い切る人や、公的年金が少ない人は、年金や併用が有利になることがあります。退職金の有無や時期、公的年金の額で比べて決めましょう。
iDeCoの一時金は確定申告が必要ですか?
「退職所得の受給に関する申告書」を提出していれば、源泉徴収で課税が完了するため、原則として確定申告は不要です。
iDeCoの年金受け取りは何年に設定できますか?
運営管理機関(金融機関)によって異なりますが、5年以上20年以下の範囲で選べるのが一般的です。受け取り回数も年1〜12回などから選べます。
参考にした公的資料
内容の誤りや古い情報などお気づきの点は、お問い合わせフォームからお知らせください。(制度改定への対応状況)
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※ 本記事は掲載日時点の法令・公的資料にもとづいて作成しています。制度は改正されることがあり、個別の状況によって取り扱いが異なる場合があります。最終的な判断は、勤務先・税務署・加入している健康保険などにご確認ください。